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アイリッシュセッターってどんな犬?

アイリッシュセッターは、光沢のある赤みがかった茶色の毛色に、引き締まった体格の犬種です。イギリスのアイルランド生まれのアイリッシュセッターは、アメカジの老舗ブランド「REDWING」の革靴で、この犬種にちなんだ名前を持つモデルが存在することでも有名ですね。 アイリッシュセッターをお迎えしたいと考えている方に向けて、犬種の特徴や性格、飼育方法について詳しく解説します。

アイリッシュセッターの子犬を飼う前に知っておきたい5つのこと

アイリッシュセッターの特徴

犬種名の「セッター」とは、猟のときに獲物のほうを向いて「伏せ」のポーズをする(セッティング)ことにちなんで付けられたものです。この犬の祖先は、17~18世紀ごろにイングリッシュセッターやポインター、スパニエル犬といった猟犬を交雑することにより誕生しました。19世紀ごろには、原産国のアイルランドにて現在の形に近い「マホガニーレッド」の被毛を持つ犬として確立されます。また、ドッグショーに出場するようになると、首の長い個体が美しいとされるようになり、選択繁殖が進められました。
犬種のスタンダードがはじめて制定されたのは、1886年のことです。以降も現在に至るまで、猟犬として優れた特性を求めて品種改良が進められています。

体高、体重アイリッシュセッターの標準的な体高はオスが68.6cm、メスが63.5cm、体重はオスが31.8kg、メスが27.2kgほどです。垂れ耳に長い首、豊かな飾り毛を持ち、全体的にほっそりとしたスポーティーな体格は、細身ながらもしなやかな筋肉に覆われています。

毛色、毛質アイリッシュセッターの毛色は赤みがかった茶色で、光沢があり、風になびく姿は非常に美しいものです。
ブラックが入るのは望ましくないとされますが、胸や頭部にごく小さくホワイトが入るのは認められています。
また、育種の過程でレッド&ホワイトの個体が生まれることがありますが、日本では「アイリッシュ・レッド・アンド・ホワイト・セッター」という別の犬種に分類されています。

アイリッシュセッターの毛質はシングルコートの直毛で、首回りやしっぽに長い飾り毛があるのが特徴です。

ポインターとの比較アイリッシュセッター育種の過程においては、同じイギリス生まれの猟犬である「イングリッシュポインター」がかけ合わされたとされています。体高や体重は似通っており、スリムで筋肉質な体格といった共通点がありますが、被毛を比べると2つの犬種の違いは歴然です。
アイリッシュセッターがマホガニーレッドの長毛であるのに対し、ポインターは短毛で、ホワイトベースにレバー、ブラック、レモン、オレンジいずれかの班が入ります。

アイリッシュセッターの性格

ドッグショーの花形として、またフィールドトライアル競技のチャンピオンとしても活躍しているアイリッシュセッター。見た目の印象から「クールでプライドが高そう」というイメージをもたれることもありますが、実はとても温和で優しい性格をしています。とくに家族に対する愛情が深く、小さな子どもにも落ち着いて接します。
攻撃性が低く、ほかの犬や動物とも仲良くできるため、飼育スペースの問題さえクリアできれば多頭飼いでも問題ありません。

アイリッシュセッターが人々から愛される理由は、それだけではありません。この犬は優しく温厚なだけでなく、明るく社交的。陽気で誰とでも仲良くできるアイリッシュセッターは、家族のムードメーカーになるはずです。
とてもフレンドリーな性格のため、見知らぬ来訪者に対してじゃれついてしまうことも。比較的体の大きな犬ですが、番犬としては不向きといえるでしょう。

さらにアイリッシュセッターはいつまでも子犬のような無邪気さがあり、やんちゃで元気いっぱいです。運動神経がよく体力もあるため、遊ぶことも大好き。しつけのときも、何かしら遊びの要素を取り入れるとよいでしょう。
また、勢い余って小さな子どもにじゃれついてしまうこともありますので、思わぬ事故には注意が必要です。

大人になっても子どもっぽさが抜けないアイリッシュセッターですが、その一方で、知性が高く判断力に優れています。基本的には賢い犬なので、根気強くトレーニングすることで唯一無二のパートナーとなるでしょう。

アイリッシュセッターの飼い方

日本ではまだまだ見かけることの少ないアイリッシュセッター。一緒に暮らすためには、どのようなことに気を付けるとよいのでしょうか。
食事や運動、お手入れといった基本的な飼い方のポイントを紹介します。

食事のポイントアイリッシュセッターのスリムな体型は、日々の食事からつくられます。成長期にあたる子犬の時期には、必要な栄養素が豊富に含まれた子犬用フードを用意しましょう。消化機能が未熟のため、1日3~4回に分けて与えます。成犬の時期に入ったら、栄養バランスに気を配りましょう。食事は1日2回に分け、肥満を防止するために、“高たんぱく・低カロリー”フードを与えるのがおすすめです。

必要な運動量、おすすめの遊ばせ方日々の運動は、アイリッシュセッターを飼うときの大きなポイントといっても過言ではありません。この犬種は運動能力が高く、1日中動き回れるほどの体力を備えています。
散歩は1日2回、各1時間以上確保するのがベストです。時にはドッグランや犬が入れる公園のような施設で、思いっきり走らせる必要もあるでしょう。
猟犬としての気質から、ボールを追いかけるような遊びも大好きです。運動不足は犬に大きなストレスを与えてしまいます。アイリッシュセッターを飼ううえで、思いっきり動き回れる環境はマストと考えましょう。

お手入れ方法艶やかな長毛を保つためには、毎日のケアが重要です。ブラッシングはできれば毎日、少なくとも週に3~4回おこないましょう。長い毛は絡まりやすく、放っておくと毛玉ができてしまいます。まずはスリッカーブラシで毛のもつれを解いてから、コームで仕上げましょう。
シングルコートの犬種ですが、体が大きいために抜け毛は多いです。ブラッシングと併せて、週に2回~月に1回程度のシャンプーを習慣付けましょう。

暑さ・寒さ対策比較的寒い地域を原産国とする犬ですが、シングルコートのため冬の寒さには弱い傾向です。冬場は室温を一定に保ち、保温性の高いベッドや毛布など体を温められるグッズを用意しましょう。
熱中症の危険が高まる夏場は、暑さ対策にも気を配ります。アイリッシュセッターを飼ううえで運動は欠かせないものですが、真夏の昼間の散歩はNGです。暑い時期はなるべく朝晩の涼しい時間に運動させましょう。

アイリッシュセッターの寿命

平均寿命は、12~15歳程度です。短命傾向にある大型犬のなかでは、比較的丈夫で長生きする傾向にあるといえるでしょう。

犬の寿命には個体差があるものですが、大切な愛犬には1日でも長生きしてほしいものですよね。犬の健康を維持するのは、飼い主としての大切な役割です。バランスのよい食事に十分な運動、暑さ・寒さ対策に気を配り、犬にとって快適な住環境を整えましょう。

さらに、犬種特有の病気にも注意が必要です。不安なことがあれば、悩まずかかりつけ医に相談することをおすすめします。

アイリッシュセッターの気を付けたい病気

進行性網膜萎縮症この犬種に多いとされる目の病気です。網膜が変質・萎縮することで徐々に視力が低下し、重症化すると失明に至ります。発症原因は遺伝によるものと考えられており、予防が難しい病気です。

股関節形成不全大型犬によくみられる疾患で、生後半年前後に発症します。股関節周りの骨の成長が噛み合わないことで、歩行やちょっとした動作にも痛みを感じるようになります。成長期をすぎると痛みの治まるケースが大半です。

肥大性骨形成異常股関節形成不全と同じく、骨や関節に関わる病気です。成長期に急激に体が成長することで、足の関節に炎症が起こります。強い痛みが生じますが、軽症であれば2週間程度で治まることが多いようです。

このほかに、運動量の多い犬種は、「胃捻転」に注意が必要です。胃内の液体やガスの増加などが原因で胃が捻じれ、腹部の膨張が起こります。さらにガスが増え続けることで、腹部の痛みや呼吸困難、痙攣、意識喪失といった重篤な症状を引き起こします。
食後の急激な運動や、激しい運動の直後に水をがぶ飲みすることなどで発症リスクが高まるとされるため、とくにやんちゃな犬は注意してください。